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2016年のアニメ個人的ベスト3

 大晦日をもちまして今年のテーマが人間に決定しました.早く人間になりたい.

第1位:この世界の片隅に

素晴らしいアニメだった.

感動したというと確かに感動したのだけれど,最初に思ったのは「ああ,人間がいる」ということ.次に,人間は生活をするということ.そして,ユーモア(humor)の語源は人間(human)と同じであるということ.

そこにいない人をいるように見せる,世界や人間とのインタラクション,振る舞いを通して登場人物に魂の重さがあると錯覚させる.それが萌えアニメにとっていかに大切なことであるか,いかに難しいことかというのは常日頃から思っていた.

そして,本作には人間がいた.なんでいたのかはわからない.緻密なリサーチがもたらしたのか,優れた演技演出がもたらしたのか,それは正直わからない.

でもとにかくいた.いるものはいるのだ.大勝利.

そして,これまたすごいアニメだと思うのは,見た人が言うことがまちまちなのだ.見た人が,己の知識,体験,あるいはイデオロギーに引き寄せてこの作品を語り,なにがしかの形で褒めている.
そうやって全てが違うからこそ,多くの人に薦めたくなる.
十代の人が,六十代の人が,都会の人が,田舎の人が,独身者が,所帯持ちが,男の人が,女の人が,この作品を見て,何を思い,何を感じ,何を語るのか.そこへの興味が尽きない.

だから,本作は自分の中で「この十年で一番多くの人に薦めたいアニメ 」になっているのだと思う.

 

第2位:ハイスクール・フリート

今年いちばん好きになった作品ははいふりだった.ブルーレイも全部買った.

荒唐無稽な設定,ご都合主義の展開,そういったものの中にあって,
それなりにしっかりとした相互理解と成長の物語があった.そこが気に入っている.

人間は望むと望まざるとにかかわらず人間関係を通して変化していく.百合が関係性の産物なら,人間関係による人間の変化を描くこともまたその意志に沿うものであろう.

本作の主人公,岬明乃は「家族」というわからないものに憧れ,気負いから一人相撲に陥る.しかし,相手の立場になって初めてその重さに気づいて行動を改め,重さに気づくがゆえに失うことを恐れて足が止まるも,それでも最後は「家族」に支えられて危難を乗り越える.

たしかにその話の筋だけでも良い.良いのだけれど,最終話で真白が明乃に「行きたいって顔に書いてあるよ」と言うシーン.ここにそれ以上のものがある.

このシーンこそがまさにはいふり全12話の到達点であり物語の締めであり要石であって,ビルドゥングスロマンとしてのはいふりはここに完成を見たのだと思う.

まず,このシーンで「家族」の危機に動かずにおれないという明乃の初心,根源的な性質みたいなものが相互の信頼のもと受容されているのが嬉しい.有り体に見ても12話までで明乃は成長した.ただその成長は,過去の行動を否定するのでも無条件に肯定するのでもない.無鉄砲で独断専行という直すべきところを直しつつ,最初の方向性,意志を変えていない.つまり,キャラクターとして筋を通しつつも良い方向に行動が変化している.そこに健全なバランス感覚を見る.

そして,このシーンが真白の成長の結果でもあるところが秀逸だ.
真白は最初はマニュアル至上で他人を信用していないところがあったが,相手の立場や感情に配慮し,信頼のもとで任せることができる度量を手に入れている.優しげで砕けた口調も副官ではなく友人としての発言という印象で,これは友人として距離が近づいたともいえるし,公私の使い分けを身につけたともいえる.どちらにせよ好もしい変化であると思う.違いを認めてそれでも力になりたいと宣誓した11話も格好よかったが,どちらかというと落ち着いた最終話のこのシーンにより強く成長を感じた.

ミケシロキテる?というとそりゃもう間違いなくキテると答えるだろう.でも,キテなくてもいい.二人が築いた信頼関係にはそれだけで三億点くらいの価値がある.

主題歌流しながらバトルシップのオマージュをやったので一億五千万点,フルCGのLCSで一億点,福内さんで一億点,はいふりカメラで一億点くらいあるけど,それはそれ.減点法ではともかくも加点法では八億点くらいあるアニメだと思う.

 

第3位:Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀

アニメじゃねーじゃねーか!!!

最後のほうがボンクラかつドイヒーでよかった.
蔑さんと凛ちゃんさんが武の境地について語り合う以降の

 

初心者「C言語わからない」
中級者「C言語わかる」
上級者「C言語わからない」
導師「(理解に頓着しない)」

 

めいた格付けの押し出し方が好きだ.これにかぎらず,虚淵先生は人類普遍の構造を見てエピソードを書いてるんじゃないかなぁと思える瞬間があって,信者のしがいがある.

 

また,どうしても同じ分野で消費をしていると視野が狭くなってしまうので,布袋劇という違う文化に触れられたのは良かった……といえればいいけど,実質これってアニメみたいなもんじゃねーか!!!

 

2015年のアニメ個人的ベスト3

見る本数が更に減ったのもよくないんだけど,いくつもの価値観が交錯するような話を読めなくなっている,読めないならまだしも好まなくなってきているのは非常に由々しき問題だ.

第1位:ガールズ&パンツァー劇場版

ガルパン劇場版は体験なのでその良さは説明できない.

戦車一台ごとに車内での反響を考えて音響が制作されているとか,専門家の監修を入れてディテールアップしたとか,そういう熱意は確かにあるけれど「でもそれって自己満足じゃないの」と言われてしまうと,どこまでがただの自己満足でどこまでが本編の魅力を後押ししてるのかという基準を設けることはできないのだと思い知らされる.
王道,あるいは陳腐と評されるストーリーについても,それを要素として言語に分解し続ける限り,全く魅力の無いものとしてしか目に映らない.

しかし,映像は言葉よりも遥かに雄弁であり,ガルパン劇場版という体験は言葉の制約をすり抜けて輝きを放ち続ける.
そういう諦めの元,敗北宣言として絞り出された言葉が「ガルパンはいいぞ」なのである.

ガルパンはいいぞ.

第2位:機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ

こんなにわかりやすくて良いのかガンダム!?

一部のリアルロボットに漂う,体制があって,反体制があって,イデオロギーがあって,その衝突は暴力として解決されていて,という図式が好きではなかった.
本作も世界設定的には地球と火星で不公平と確執があってその部分は確かにその図式なのだが,体制はあるけど統治が行き届いていないというのが先に来る.
そんな中で天下国家は良いから今そこにある家族を大事にしていきましょうや,というところにフォーカスしてるので,その視点については「そらそうなるやな」としか言いようが無いし,それを好もしくも思っている.
圧政と戦うのではなく無政府状態と戦うのだ,という現時点でのノリは,主人公たちがPMC所属というところも合わせて,ようやっと冷戦以降っぽい雰囲気になってきたという気がする.

本題としては,姫様の株が上昇を続ける中,団長の株価がストップ高で猛追といったところで,こいつはキテるぜ.

第3位:戦姫絶唱シンフォギアGX

中盤が段取り臭すぎるとか,オートスコアラーの使い方がもったいなさすぎるとか,ダメなところは大いにあったと思うけれど,RADIANT FORCEが流れた時の,「ああ,これは間違いなく今の自分のためにあるアニメだ」という確信を大事にしたい.

冒頭6分以外で好きなシーンはキャロル(大)がいきなり歌い出すシーン.

ハーモニー 劇場版

概ね,

という第一印象からは外れていない.
とはいえ,etmlで叙述トリックかますような原作を相手に2時間でよくぞここまでと思う.
割引料金で見たのが申し訳なくなるくらいには良かった.

声について

良かったのは特にキャラクター.絵があって音があるというアニメの強みが十二分に生きていて本当に素晴らしかったと思う.
声優の選定の時点で勝ってる.演技もさることながら声を聞いた時点で「このキャラはこういうキャラ」という自分の思い込みにぴったり収まりストンと落ちる.
トァン役の沢城みゆき,オスカー役の榊原良子あたりは説明不要なまでの鉄板.
キアン役の洲崎綾キルラキルを考えると納得できる.「あまり頭は良くないけれど,知性に頼らない鋭さを持っている.家庭的ではないけれど日常の象徴で,劇中失われて初めてその存在の大きさに気づく」という役どころで輝く.実にいい.
ミァハ役の上田麗奈については今まで演技をあまり聞いたことがなかったのでどうなのかなと思っていたが,声を聞いて納得した.幼いカリスマという立ち位置なので若手を持ってくるのは適っているし,訥々とした言い回しと甘い声に底知れなさが垣間見える.ゾクゾク来た.いい.

その他脇役もベテランを順当に.妥当順当をきっちりなぞるキャスティング.いい.

絵について

続いて各種デザインも奇抜に過ぎるかと思ったがすぐ慣れた.
世界観的には超落ち着く感じの建物がいっぱい並んで並びすぎてるからこの世界はクソという位置づけなので奇抜に思えてはいかんはずだけど,未来ではロボットに乗るときにエロいパイスーを着るのが一般的なのでヒワイな形状のビルが立ち並んでても普通なんだと思う.

服についても,何だこのコスプレみたいな服って思ったけど,未来ではロボットに乗るときにエロいパイスーを着るのが一般的なので多分あれが普通なんだと思う.28歳バリキャリCV沢城みゆきなキャラがこの衣装で足を組んで座ると考えるとデザインがキャラクターに結びつくことによる勝利を感じるのではないだろうか?それで許すよ……

原作だとラストシーンのミァハの服は民族衣装という触れ込みだったが,いのり……さん*1みたいな服が民族衣装というのは新しい.コーカサスは寒いのにあんな露出の多い民族衣装なんだ……きっと破廉恥民族なんだ……でも山ん中の少数民族だしもしかしてもしかするとそれが普通なのかもしれないし……PC的にエロいとか言っちゃいけないんだ……


AR表現についてはレンズを通してポンポンでてくるダイアログボックスが日本語メッセージなのが地獄感があっていい.ラテン文字や漢字が主体だと硬質でかっこ良くなりすぎる.ひらがなの当たりの柔らかさが,マイルドでともすれば野暮いUIとあいまって,お節介に殺される雰囲気にマッチしている.意図を汲みとっているようで嬉しい.

オーグ空間の表現,現実にテレプレゼンスでどうこうするなら色をつけない理由ってないけど,これは色無しで正解だった.半透明の映像に喋らせるという陳腐な絵面を表面上避けつつも,3Dモデルがあるからキャラクターの表情が見える.基本的に公,お仕事モードの表現なので,白一色で事務的な感じが出てていい.

ただし,ラシュモア山みたいなアレ,テメーは駄目だ

百合について

百合描写は増えていた.百合がなかったらハーモニーじゃないと思うし声もあって堪能したにはしたがやや直截に過ぎる印象を受けた.

くらいのかすかな違和感が残った.

彼女らの関係は,息苦しさからの逃避としての代償行為とか,不健全さへの憧れとか,思春期特有の不安定さとか,あとは超然とした態度にあてられたとか,そういう幾つもの要因が複合したものであって,その関係でキスしたり好きって言わせたりするのは,大筋合ってたとしても細部を宿った神ごと切り捨てているのではなかろうか.

月村先生来てくれーっ!アニメ脚本に帰ってきてくれーっ!

原作との差異について

ラスト付近の改変は,個人的には好きではない.これではどうして撃ったのかという動機がぶれる.原作どおりに動機を復讐とするとややしょっぱいという判断も納得できるが,その塩辛さも含めて好きだった.キアンや親父とのシーンの積み重ねを二時間で出来ない以上,ここだけ変えるわけには行かなかったのだろう.
苦心はわかるが,やはり違う.

「天使が降りてくる」直前のシーン(バンカーで看取るとこ)がないのも,やや消化不良.CGマップと風景で察しろというのは洗練されていたかもしれないが,ここはもう少し陳腐に別離と「さよなら,わたし」してくれてもよかったんだよ?


また,原作中の言い回しは好きだし小説だから仕方ないと思うが,映像に落ちてしまうといかんせんバーバル,特にモノローグに頼り過ぎる印象が拭えない.原作ものの悲哀というか,アニメ化不可能とか可能とかそれ言ったら全部不可能になるだろくらいの思いもあるが,この映画化は戦術的には勝利してるが戦略的には何で映画化したんだ……という伝統のアレ.

自分は「幸せなアニメ化」というフレーズが「すべてのアニメ化は失敗である」という絶望的な原則を変える突破口になると思ってる.何がそれを分かつのかというと,それはもう「愛よ!」としか言いようが無いのだけれども,果たしてハーモニーは「幸せなアニメ化」だったのだろうか?

Noではないと思いたい,でも,自信を持ってYESとは言えない.

*1:ギルティクラウン」の楪いのり.ハーモニーとはキャラデザが同じredjuice氏であるのみならず,何を間違ったかエンディング曲まで歌ってる.

戦姫絶唱シンフォギアGX #4 思いついたことメモ

  • そういえば,アガートラームの名前が劇中で正式に出たの初めてか(2期だと聖詠でしか出てなかった)
  • Alca-NOISEってことはアルカノイズのアルカはAlchemy由来でなくAlcahest由来?
  • 「仲良しこよしを粉と挽いてみるか?」これだよ!この様子がおかしい日本語を待っていた
  • やっぱり烈槍の方のガングニールかっこいい.刺突武器として使ってるの久々に見た(いつもはだいたい打撃武器か斬撃武器).
  • 大きく開いて背中が見えるのはセクシーではあるのだが,あのマントが好きだったんだよなぁ
  • HORIZON†SPEARのカットインに格好いい!!ってなってからだよ!適合者はッ!
  • 目をそらすなって言われて速攻そらすビッキーでダメだった
  • あのね,キャロルがホムンクルス転生を重ねたロリババアであることがですね,劇中で一切語られず用語集だけで解説されるの反則だと思うの
    • 精神の化け物であるところのフィーネでさえ「是非を問うだとッ!?恋心も知らぬお前がーーッ!!」とか言っちゃうアニメなので,転生を繰り返してきた錬金術士が燃え盛る炎におとんを思い出して涙ちょちょぎれてもいいんだ
  • キクコーマンは反則.シリアスにネタをいきなりぶっこむスタイル.
  • 3期はFIS組の扱いが手厚くて良い.というか掘り下げるならそこしかないよね.定期的に曇る主人公はまぁ,様式美.
  • 借り物の力ではなく,それは受け継いだ力なのではなかろうか.
    • そしてそういう開き直りをしてほしいのだ.
  • 昼ごはん抜くからダメなんだよなこれ.ご飯はきちんと食べましょう,がシンフォギアの価値観だから.
  • この街の人間を犬も猫も解剖だゾ!発言から透けて見えるミカの頭の残念さいいよね
  • このびよんびよんする鉤爪すき
  • 口笛いいよね……
  • 変身時にバックで水バシャーってなるのガリィちゃん勝利フラグなのか.
  • この「どうしようもねぇバカだな」ってのいいよね.同様のロジックで「チクショウ,敵わないわけだ」も好き.
    • ロジック?ロジックとは何だ?
  • こういう歌い方をされるともうCD音源では物足りなくなってしまう
  • 瞳孔全開!ギザ歯!変な声!完璧じゃないか……
  • 悪い顔!ギザ歯!変な声!完璧じゃないか……
  • 垂直打ち上げからの最高点で武装解除ならもう肩からドシャア!と落ちるしかないよね,と思ったけどFlyがDispelされたみたいな挙動だった

型番プレフィクスがHMXなことをみんなスルーしてるんだけどどうなってるの(シンフォギアGX #2感想)

シンフォギアGXの2話を見て色々考えてたところ,オートスコアラーの設定について属性を鍵にした統制がとれていて(下表参照),さすが脚本のおっさんだぜ!って思った.
細かいところに凝っているようでありつつも,大局では西も東も知ったことかのごたまぜ設定をやるあたりがいい.
基本は足し算.何も引かない.何も割らない.

名前 属性 武器 対応する大天使 対応する小アルカナ(スート)
ミカ(Micha) カーボンロッド ミカエル(Michael) 棍棒(クラブ)
ガリィ(Garie) ?? ガブリエル(Gabriel) 聖杯(ハート)
ファラ(Phara) ラファエル(Raphael 剣(スペード)
レイア(Leiur) コイン ウリエル(Uriel) 硬貨(ダイヤ)

*1
*2

戦姫絶唱シンフォギアGX 第1話(の冒頭5分)

シンフォギアGX 1話の頭5分は完璧にシンフォギアだったので,可能な限り分解を試みる.
メインキャラクターの連続性など自明なものは除く.

  • 過去話へのオマージュ
    • インジケータの演出(1期OP)
    • 「城南大学」(1期)
      • これはさらに元ネタがあるが……
    • 「歌が聞こえてくる」(1期)
    • 軌道計算(1期)
    • ダイナミック自然破壊(1期)
    • 巨大構造物を対象とした投げ技(1期)
    • 「本当の馬鹿」(1期)
    • 蕎麦を食う斯波田事務次官(2期)
    • 「平気,へっちゃら」(2期)
    • VLSでの奏者射出(2期)
    • クリス→翼の「センパイ」呼び(2期)
  • シンフォギアをシンフォギアたらしめる性質
    • 「歌は世界(人間)を救う」というテーゼ
    • 「生きることを諦めない,助けられる側も一生懸命」というテーゼ
    • 安保理決議を持ち出す危うい政治タッチ
    • 「お役所仕事に見せてやれ」という若干様子のおかしい日本語
      • いわゆる金子節
    • 「K2の標高,世界三位に下方修正」というボンクラパワーワード
    • カットイン
    • 演技としての歌唱

2014年のアニメ(のセリフ)個人的ベスト3

クッソ忙しい中、アニメも見ずに週一で艦これ怪文書を書くだけの一年だった。

あと、今年は気に入ったセリフベスト3にしました。主に姫様と霜月ちゃんのせいで。

1位:「お前が死ねぇーーっ!!」(「クロスアンジュ 天使と竜の輪舞」3話より)

理不尽に耐えてもまた理不尽が来たらキレるしかない。
それでもキレちゃいけないときは?

やっぱキレちゃうよね!精神修養が足りておらず申し訳ございません!疑いようもなく!

だからこの手のCurse wordsは声に出して読みたい日本語なのだ。声に出してはいけないけれど、声に出さねば意味が無い。

2位:「仁↑義↓ってやつ?」(「楽園追放 ーExpelled from Paradiseー」より)

相手が不利益を被ってまでやってくれたことに対しては、同様の心意気で答える。

自分はそれは基本的に良いことだと思うけれど、無条件には賛成出来ない。それが悪いとか社会を憎んでいるとかそういうのではなく、あまりにも強力だから怖くなってしまう。(自分の払った犠牲を受益者も払って然るべき、っていう地獄はこの考え方と「自分はそうするんだからそうしろ」という単純かつ強力なロジックで補強されることが多い)

だけれど、この考え方を「仁義」の二文字に落とすと、非常にスッキリする。

自分は今、望んで不合理を受け入れ浪花節をやっている。自由意志の名のもとに、合理性とか整合性とか正しさとか、そういうのを一旦棚上げして思うまま他者のために振る舞おうとしている。ゆえに必ずしも自分の行動は肯定されるべきではない。

そういう思考のスイッチに、この古臭くて露悪的な響きさえある「仁義」という言葉はしっくり来る。

登場人物が心情を合理化して行動を肯定する方向に持って行こうとするプロセス/ロジックが、虚淵玄が段取りくさいとか理詰めだとか言われる理由だろうし、水が合う作家だと思う理由でもある。

3位:「私、この社会が大好きですから!!」(「PSYCHO-PASS 2」11話より)

何をされても曲がらず折れない常守ちゃん vs. どこまでも曲がるから折れない霜月ちゃん

この対戦カード、主人公の格として考えれば勝敗はもう火を見るより明らかなんだけれど、それがなんだっていうんだ…… 適応する奴が最強だってダーウィンおじさんも言ってたんや…… 君子豹変す なんや……

霜月ちゃんはそういう意味で一本筋の通った脇役なので好きです。大好きです。でも一緒に仕事はしたくないです。