とある科学の超電磁砲OVA
- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2010/10/29
- メディア: Blu-ray
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うーん,ふつう.すごくふつう.
金かけてきちんと萌えアニメ作ったらおそらくこういうのに収束するのではないだろうか.状況説明やって,キャラ見せて,活躍させて,めでたしめでたし.放送で見てもレンタルで見ても「そこそこ面白くて良い出来だった」と感じるだろう.ただ,映像ソフトを購入して視聴する場合は,本編33分であることを考慮して買った方が幸せになれる.
続きを読むヨスガノソラ 第1話
一話の評判がよいようなので「ヨスガノソラ」を見る.
……なんという閉じっぷり.主人公兄妹の共依存にキュンキュンくる.我が儘でめんどくせー妹はもちろんのこと,兄が妹を窘めるときに口にした「たった二人の家族だもの」に漂う本格派の風合い.
これで兄の方が周囲のヒロインとなし崩し的にちゅっちゅして,でもやっぱりどこか満たされなくて,そのまま妹と恋愛関係になっちゃうとヤバイよね.最終的には一線超えちゃうわけで,そうなったらいずれは吹っ切れた挙げ句に手に手を取っての心中が待っている.このうつくしいパワーバランスは兄と妹という関係ならでは.人間を自死へと駆り立てるのは義務感とか体面とか理想からの乖離とかで,だからこそ「この子はなんとしても自分が守る」「自分は保護者として妹を愛している」という兄→妹の感情は危うい.銀色というこの世ならざる髪の色も手伝ってド直球な儚さがある.
この「どこまでいっても行き先はドブ泥の中」感,どこかで見たなと思ったらブラックラグーンの双子だった.経路と壊れ方は違うけど,行き先と壊れているという事実は同じ.
2010年のアニメ個人的ベスト3
2010年も面白いアニメが多かった.特に4Qは面白いものばかりで見るのがぜんぜん追いつかない.
1位:聖痕のクェイサー
今年一番笑ったアニメはこれ.バカ方面の発想力が凄まじく,人間の創造性がゼロサムだったら創造性濫用のかどで訴えられてもおかしくないレベル.
- 正気のガケップチにいる原作
- 原作の先へと一歩踏み出す脚本
- 胸部だけで登場人物の識別が余裕なこだわりの作画
- 京アニ作品で良い感じのイメージつけてブレイクしたのにひどい役を回される声優
- 無駄に荘厳かつ場を盛り上げることに長けた音楽
魅力を要素で語るときりがないけれど,特に好きなのは台詞.真顔からぶっ放されるサーシャの斜め上な台詞に笑いっぱなしだった.
あと,これはとても大切なことだと思うのだけど,各地点では皆が真剣で真顔.その上で明後日に向かって突っ走ってるのが最高にハラショーだった.
2位:Panty & Stocking with Gerterbelt
10月期に颯爽と登場したクールなボンクラアニメ.ルール(巻き舌)なんてクソ食らえというChaoticでAnarchyでFreedomな作風が好き.
通常は自由を謳歌する際にはそれで発生する正当な面倒について対処する責任が生じる.だけど,時にその正当な面倒をぶっちぎりたくなるときがある.ただ.それをリアルにやってしまうとまずいことになる.自分も相手も嫌な気分になる,だからできない,してはいけない.じゃあ,このイライラはどうすればいい?
そんなときにこのアニメは心にすっと入ってくる.福音になる.
さぁカーテンを閉めてテレビをつけよう!PaSwGを見て中指を立てよう!世間に!良識に!正当性に!超自我に!エゴを抑圧するすべてに!
3位:真・恋姫†無双 乙女大乱
百花繚乱とどっちがいいか最後まで迷ったが,「最近見たのほど面白いバイアス」を補正して恋姫2-2期.1期からずっと楽しませてもらっていたが,エピソードごとに魅力を語るってタイプのアニメじゃないのでなかなか名前を挙げる機会がなかった.
テクスチャこそ少々狂ってるけど,シナリオ根幹は恐ろしいほどにオーソドックス.水戸黄門に代表される定番時代劇を萌えアニメにすると多分こうなる.脚本がとてもカッチリしているので安心して楽しめる.ちょっとしたコマやセリフがきちんと鍵になっているので,ギミックがわかって膝を打つ瞬間が気持いい.
だらだらと冒険活劇を楽しむもよし,Aパートを問題編,Bパートを解決編として,それぞれのシーンがどういう役割を持つのか考えるもよし.インタフェースさえ合うならお得なアニメだと思う.
シンギュラリティ・コンクェスト
シンギュラリティ・コンクェスト 女神の誓約(ちかひ) (徳間文庫)
- 作者: 山口優
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2010/11/05
- メディア: 文庫
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全部好きならこの本だ!
「技術的特異点を生み出した後にそれをどう制御するか」というタイトル通りのテーマに対し,この作品はロマンとボンクラを兼ね備えたアプローチを突きつける.
でも,これが「良いシンギュラリティSFか」って言うと,なんかそういうのじゃない.
この作品の魅力の中心は技術的な興味とか無限に広がっていく発想にはない.魅力の中心は「二次元パラダイスを合理的に実現しようと論理をこねくり回す情熱」と「その結果できた論理にまとわりつく怪しげな雰囲気」にあるように思える.つまり特異点の先を描く外挿じゃなくて特異点に至るまでの内挿に魅力がある*1.
その魅力はたとえば,某みんなのスパコンを超える無茶なバクロニムであったり,作中日本の変態技術立国っぷりからゆんゆんと漂ってくる呪縛めいたナショナリティであったりする.日本神話と日本刀と大和撫子とロボットとHENTAI,どれも確かにお国自慢じゃあるんだが,全部を同じ器に盛っちゃうあたりが混沌としていて気に入っている.
*1:個人的にシンギュラリティSFというと特異点近傍および特異点の向こう側を描くものというイメージがある
パンティ&ストッキング with ガーターベルト 第10話
前半ひどいなこれは,今回いまいちだなと思ったら最後5分で吹っ飛んだ.
ライブ/PVシーンはここ最近のアニメの華ではあるけれど,これは素晴らしい.作画よりも,歌よりも,本編との方向性の一致が最高.PSGの「英語圏かぶれ」で「反権威的」で「パロディ好き」な雰囲気と完璧にあっている.敵を作ることをいとわないPSGに敬意を表して,「PSGは今年最高のライブシーンを提供したアニメ」だと言っちゃっていいんじゃない?