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魔法少女まどか☆マギカ 第6話

なんかもう,やばいくらいにはまっている.深夜アニメってほんとうにいいものですね.
語りたいことが多すぎてぜんぜん焦点が定まらないので,視聴後2時間分の思いをとりとめもなく書く.

「正しさ」にまつわる話:

前半部,「正しさ」に歪められるさやかがとても良かった.
身近な人間を救いたいという極めて素朴で正しい思いが,もう少し広く人を救いたいという思いに変わり,その領域での衝突が敵意を産み,敵意はやがて自分に協力しない人間に対しても向くようになる.まどかに対して放たれる,あなたの身近な人がどうなってもいいのか,という殺し文句はなかなかのもの.
さやかは現状,実に「正しく」てリアルで危なっかしいイデオローグだ.ただ,もう少しゆっくり,追い詰められて先鋭化していく描写があっても良かったかなと思う.今のままではその経過はリアルと言うにはちょっと一足飛びな感がある.

「正しさ」を積み上げて破局へと向かうさやか,そしてそれを心配するまどかに対するまどか母の「間違えればいい」という答え.これもまたカウンターとして素晴らしい(好みを言えば,こちらのほうがほっとする,好きな考え方である).
まどかはこの母のアドバイスに従い行動した.さやかの命を救おうとして,さやかの命を奪ったのだから,まどかの試みは致命的な失敗(文字通りの意味で)のように見える.だが,ほむらの尽力でさやかは復活し,魔法少女に関する重大な情報が開示された.これによりさやかと杏子の破滅的な対立構造が揺らぐ余地が出てきた.冷静に考えてみればまどかの望みはかなっている.
その代償がどういう形でまどかにふりかかるのかはわからないけれど,今後が楽しみである.

スパルタンな設定にまつわる話

終盤で明らかになった魔法少女ソウルジェムに変質させられているという設定,これも大変に面白い.怪物とドンパチやる魔法少女にとって,都合のいい肉体を考えるとたしかにそうなる.この無慈悲なまでの合理主義とカタギじゃなさが実に兵器っぽくて良い.仮面ライダーだよこれ.

さて,この設定が明らかになるシーンでキュゥべえの発した「魂の在り処をどうしてそんなに気にするのか?」という問いは結構本気で考えると大変な問題だ.
ただ,「魂を肉体の外に移す」ことへの忌避感だけは染み付いている.その忌避感への無関心が,キュゥべえが人間とは違う種であることを端的に表しててぐっとくる.このあたりの断絶は萌える.

精神と肉体の分離はサイバーパンクの本質の一つであり,「精神と肉体の分離を行った個人はその前後で変わらず同じ人間であるか? また,前の問いは本人にとって,あるいは近しい人にとってどう処理されるか?」という話は「鬼哭街」でも一度なされていたように思う.この問題が今後どう取り扱われるか,非常に楽しみである.

余談

中盤で杏子がさやかを挑発するシーン,さすがだと思った.「これ言われたらキレていいわ」感が「Phantom」第三部の玲二とキャルのやりとりを思い出させる.ここまで他人の地雷を正確に踏み抜いているといっそ清々しい.

また,ほむらが未来から来た(願いが時間移動だった)説はかなり信憑性が増したように思う.ワルプルギスの夜を予期していたりとか,能力が時間停止系なところとか.キュゥべえが「極めつけのイレギュラー」とほむらを評したのも未来に契約し過去に戻ったのだとしたら当然.