2017年のアニメ個人的ベスト
順調に虚無に近づいていったが,働き方改革で余暇が少しずつできつつあるので,来年はもう少し虚無から離れるようにしたい.
第1位:プリンセス・プリンシパル
完全勝利.何兆点あるのこれ.
久しぶりに自分の趣味にクリーンヒットするアニメを見た.大体5年おきにこういうスマッシュヒットが来る(2001年に『NOIR』,2006年に『シムーン』,2011年に『魔法少女まどか☆マギカ』)ので,そういうものなのかと思う.
こういうスタイリッシュで画面が暗くてビターなストーリーと顔の良い女同士のデカい感情があって梶浦由記の音楽が大音量で流れるアニメを待っていたというのもそうだが,キャラクターの魅力,特にプリンセスとアンジェの関係性に強く惹き込まれた.こういったものはそのカップリングで二次創作が出回ることも多い.絵だとわりと「いいよね」って思うものがあるんだけど,マンガや文章となると急に偏屈になって「お前にプリンセスのなにがわかるんだよ……」というブーメランをブンブンと投擲したくなる.
今年の煩悩今年のうちに,ということで,私の中でのアンプリの書き下しを試みようと思う.
まずアンジェからプリンセスへの感情,これはCase 20で明言されたように「敬意」だ. たぶんこの敬意は尊敬の敬と隔意の意をあわせて出来たものである.運命のいたずらにより自分が生きるはずだった人生を生きた女性,自分が考えていた苦難多き道を(より困難な状況の中)ほぼ完璧に歩んでいる人間への尊敬.それはもちろん能力についてのところもあるだろうが,何よりもそれを成し遂げさせた意志に対する尊敬を大いに含むものであろう.そしておそらくその原動力が自身であることに,アンジェは何とも言えない罪悪感か居心地の悪さを覚えているように見えた.そのあたりを押し込めたのが「敬意よ」という言葉であったように思う.
次に逆向き,プリンセスからアンジェへの感情はちょっといい言葉がない. プリンセスからシャーロットへの感情ということになればこれは良くて「半身」,実際は「自分自身」に近いのではないか.プリンセスの行動のうちどこまでがプリンセスの意志で,どこまでがシャーロットの意志なのかというのがよくわからない.もしかするとプリンセスの意志というのは,「内面化・理想化されたシャーロットの意志を貫き通すためにあらゆる努力を惜しまない」ことなのかもしれない.このクッソ重い感情を糧に覇道を邁進していくプリンセスははっきり言って最高に魅力的なキャラクターだと思うし,この一点だけでさえ今年最高のアニメに届くポテンシャルを秘めている.
では,プリンセスの今のアンジェに対する感情だとすると,これはよくわからない.同志であり共犯者というのもあるだろうが,Case 23ー24を見る限りはやはり甘えというか,当然自分と同じ考えに至る,必ず助けてくれるという確信に近い思い込みがあるように思われる.だってシャーロットは自分だもんね.仕方ないよね.
ではアンプリはキテルのか.両者の間に恋愛感情はあるのか.たぶんない.でも上記のデカい感情が何かの拍子に恋愛感情と同じ位相になってしまって誤認識するシチュエーションはあり得ると思うし,それは美味しいと思う.
アンプリにしか言及してないが,それで持っているエピソードは決定的に重要なエピソードを含むものの全体から見れば半分もない.ドロシーとベアトとちせと,他にも多くの魅力的な登場人物がいて魅力的な人間関係があるのだけれど,そこは読み込みが足らないのでまだうまいこと言語化できていない.
そしてその外側にはきちんと組み上げられた技術があり社会があり政治がある.その中のダイナミズムとして本編のストーリーがある.そこもまだ全然読み込みが足らない.
ああ,全く,私はこのアニメのことがよくわからない.「尊い」に逃げずに,もうちょっと何回か見ようと思う.
その他
次点は『けものフレンズ』.理由は人類の基本的な価値が詰まってるから. 賢くあることと他者への思いやりがあること,これらは本来は相反するものではないはずだ.でも,「わーい」「たーのしー」といった無知で無垢な雰囲気を出さないとその辺の基本的な価値を受け入れることを「嘘くさい」と思ってしまう.それはよくないことだと思う.
ほかもシンフォギアAXZとかナイツマとかアルタイルとか見たものはどれもそれなりに面白かったけど,プリプリが全部持ってってしまった.