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シンギュラリティ・コンクェスト

シンギュラリティ・コンクェスト 女神の誓約(ちかひ) (徳間文庫)

シンギュラリティ・コンクェスト 女神の誓約(ちかひ) (徳間文庫)

AIは好きかい? 黒髪の美少女は好きかい?ポン刀は好きかい?
全部好きならこの本だ!

「技術的特異点を生み出した後にそれをどう制御するか」というタイトル通りのテーマに対し,この作品はロマンとボンクラを兼ね備えたアプローチを突きつける.

でも,これが「良いシンギュラリティSFか」って言うと,なんかそういうのじゃない.

この作品の魅力の中心は技術的な興味とか無限に広がっていく発想にはない.魅力の中心は「二次元パラダイスを合理的に実現しようと論理をこねくり回す情熱」と「その結果できた論理にまとわりつく怪しげな雰囲気」にあるように思える.つまり特異点の先を描く外挿じゃなくて特異点に至るまでの内挿に魅力がある*1

その魅力はたとえば,某みんなのスパコンを超える無茶なバクロニムであったり,作中日本の変態技術立国っぷりからゆんゆんと漂ってくる呪縛めいたナショナリティであったりする.日本神話と日本刀と大和撫子とロボットとHENTAI,どれも確かにお国自慢じゃあるんだが,全部を同じ器に盛っちゃうあたりが混沌としていて気に入っている.

*1:個人的にシンギュラリティSFというと特異点近傍および特異点の向こう側を描くものというイメージがある