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フィーヴァードリーム

フィーヴァードリーム〈上〉 (創元ノヴェルズ)

フィーヴァードリーム〈上〉 (創元ノヴェルズ)

ジョージ・R・R・マーティンの吸血鬼小説「フィーヴァードリーム」を買ってきました.

吸血鬼の燃えどころといえば,圧倒的な膂力で蹂躙するカタルシスってのもあるにはあるんだけど,吸血衝動との内なる闘争ってのも静かな燃えどころであると思うのです.この愛してる人を傷つけてしまう悲しみとそれが本能によるというどうしようもなさがとてもロマンチック.そしてそれに甘んじず,解決しよう(もしくは根性で耐え抜こう)という姿勢が見るものの心を動かすと思うのです.

本作ではその吸血衝動が物語のキーになっています.ロマンチックで燃える面はもちろんのこと,同時に「命を食べること」についての省察も含まれていて,読んでいて思わぬところを刺されたような気分になりました.たかがフィクション,されどフィクション.荒唐無稽のうちにふと考えさせられる面があるからこそSFやファンタジーは面白い.

惜しむらくは終盤に時の流れが加速して「あ、ありのままに起こったことを話すぜ」ってなったこと.そういえばジョジョも吸血鬼ものだったよなぁ.


氷と炎の歌」の新刊が出たけど,今さら1部から揃えるのも大変なのと訳者が変わって色々あったみたいで手を出せずにいます.一応4部は原書で持ってはいるんだけど話の筋さえ追えてるか怪しいので日本語で読みたい.